福井県敦賀市役所の改葬許可申請手続きの法律上の問題点

福井県敦賀市役所の改葬許可申請 福井県のお墓の改葬、墓じまい

 このページでは、福井県敦賀市役所の改葬許可申請手続きの法律上の問題点について、専門の国家資格者である行政書士が検討しています。

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敦賀市役所での改葬許可申請に必要な書類や資料

福井県敦賀市での改葬許可申請に必要な書類、資料

 敦賀市での改葬許可申請には、以下の書類や資料が必要となります。

  1. 改葬許可申請書
  2. 埋葬証明書、埋蔵証明書、収蔵証明書のいずれか(名称はよく似ていますが、法律上は全く内容が異なります。どの証明書が必要になるかは、事案によって異なりますので注意が必要です。)
  3. 改葬先の墓地使用許可証、永代使用許可証など
  4. 相続関係証明書
  5. 親族合意確認書
  6. 戸籍謄本、除籍謄本、戸籍全部事項証明書、除籍全部事項証明書
  7. 故人の住民票、戸籍の附票など
  8. 改葬許可申請者の住民票
  9. その他、敦賀市長が求める書類、資料。

 以上のように、敦賀市役所は改葬許可申請に際して他の市区町村に類例が無いような膨大な量の資料、書類の提出を求めています。

福井県敦賀市での改葬許可申請に必要な書類、資料の法律上の不当性

 敦賀市役所が求める資料については法的な妥当性を欠くと考えられるものも多く、敦賀市長に法律上認められる裁量を逸脱、濫用しているとさくら行政書士事務所では考えます。

 以下、法的な妥当性を欠くと考えられるもの、敦賀市長に法律上認められる裁量を逸脱、濫用していると考えられるものについて検討します。

相続関係証明書

 敦賀市役所では、改葬許可を申請する方と、故人との関係がわかる家系図の提出を求めています。

 これは妥当でしょうか。

改葬許可申請者と故人とに親族関係があるとは限らない

 まず、改葬許可申請者と故人とに親族関係があるとは限らない点から、相続関係証明書を求める敦賀市役所の対応には妥当性が認められません。

 お墓や納骨堂の使用者、墓地使用者が自らの使用するお墓や納骨堂に入れるご遺骨は親族とは限りません。

 もちろん、親族で無ければ自らの使用するお墓や納骨堂に入れてはならないとする法律も条令もありません。

 例えば、婚姻届を提出せず、事実婚の状態にある関係でお一人が亡くなった場合に、ご遺骨をお墓に納めるのはごく当たり前のことです。

 また、現在の日本では同性婚は認められていませんから、いわゆるLGBTQで同性パートナーと暮らしている方は珍しくありません。

 この場合も、お一人が亡くなった場合に、ご遺骨をお墓に納めるのはごく当たり前のことです。

 このように、改葬許可申請者と故人とに親族関係があるとは限りません。

 にも関わらず、改葬許可を申請する方と、故人との関係がわかる家系図の提出を求めている敦賀市役所の対応は妥当性がありません。

 なお、福井県敦賀市役所の改葬許可申請のご担当の方と交渉した際に、上述のLGBTQで同性パートナーと暮らしている方の例について、「それなら養子縁組をしておけばいい。」とおっしゃっていたことを付記します。

 改葬、墓じまいの本題からは外れますが、福井県敦賀市役所のLGBTQへの不理解は著しいと指摘せざるを得ません。

戸籍謄本、除籍謄本、戸籍全部事項証明書、除籍全部事項証明書を求めることとの重なり

 後述しますが、敦賀市役所では、改葬許可を申請する方と、故人との関係がわかる戸籍謄本、除籍謄本、戸籍全部事項証明書、除籍全部事項証明書の提出を求めています。

 改葬許可を申請する方と、故人との関係がわかる戸籍謄本、除籍謄本、戸籍全部事項証明書、除籍全部事項証明書の提出を求めていながら、さらに改葬許可を申請する方と、故人との関係がわかる家系図の提出を求めるのは申請者に過剰な負担を強いています。

親族合意確認書

 敦賀市役所では、「改葬について、親族が合意している」と疎明する書類の提出を求めています。

 敦賀市役所の改葬許可申請については著しく問題が多いと考えますが、これが最も法律的に問題が大きいと言えるでしょう。

 なお、この「親族」の範囲について敦賀市役所の部署内でも統一がなされておらず、話す方ごとに範囲が変わります。

「親族」の広さ

 民法上、「親族」とは「6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族」を言います(民法(1896年(明治29年)法律第89号)第725条)。

民法(1896年(明治29年)法律第89号)
第725条
(親族の範囲)
 次に掲げる者は、親族とする。
一 六親等内の血族
二 配偶者
三 三親等内の姻族

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

 どうでしょうか、このサイトをご覧になっている方で、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族がわかる、お付き合いがある、という方はどれほどいらっしゃるでしょうか。

 少なくとも筆者は把握できません。

 敦賀市役所の担当者は「戸籍を調べれば、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族くらいすぐにわかる」とおっしゃいますが、実際の調査は膨大になります。

 また、戸籍の取得には制限がありますから「親族関係を調査する」という理由では戸籍を取得できない可能性も高いです。

親族の同意を得なければ改葬できない、というのは民法897条の趣旨に反する違法な行政権の行使である

 民法(1896年(明治29年)法律第89号)第897条はお墓などの祭祀財産について一般の財産とは異なり、祭祀主宰者が独占的に所有権を取得することを定めています。

民法(1896年(明治29年)法律第89号)

第897条
(祭祀に関する権利の承継)
第1項
 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
第2項
 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

 条文には明文化されていませんが、ご遺骨についても祭祀財産として民法第897条に含まれるとするのが通説、裁判例です。

 このとき、改葬するためには祭祀主宰者以外の親族の同意を得なければならないとするのは民法第897条の規定に反していると言わざるを得ません。

 祭祀主宰者は独占的に墳墓(お墓)やご遺骨の所有権を得ているわけですから、民法(1896年(明治29年)法律第89号)第206条の定める所有権に基づき、自由に使用、収益、処分ができます。

民法(1896年(明治29年)法律第89号)

(所有権の内容)
第206条
 所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

 祭祀承継者には、民法897条に基づき、独占的に祭祀財産であるお墓、そして、裁判例、民法上の通説によればご遺骨についての所有権が認められています。

 そして、祭祀承継者はお墓やご遺骨の所有権者として、民法第206条の所有権の規定に基づき、自由にその所有物の使用、収益、そして処分をする権利を有しています。

 確かに民法第206条の定める所有権の規定も絶対的なものではなく「法令の制限内」という留保はつきますが、墓地埋葬法施行規則を根拠法令として所有権の行使に制限を設けるとするのは明らかに範囲を逸脱しています。

 敦賀市役所の「親族の同意を得なければ改葬できない」というのは民法第897条、第206条に反して、根拠無く祭祀主宰者の所有権を不当に制約していると評価せざるを得ません。

改葬許可申請者と故人とに親族関係があるとは限らない

 先ほどと同様ですが、改葬許可申請者と故人とに親族関係があるとは限りません。

 ここで、改葬許可申請者が故人の親族に同意を得る必要がある合理的根拠が見出せません。

戸籍謄本、除籍謄本、戸籍全部事項証明書、除籍全部事項証明書

 敦賀市役所では、改葬許可を申請する方と、故人との関係がわかる戸籍謄本、除籍謄本、戸籍全部事項証明書、除籍全部事項証明書の提出を求めています。

 また、故人の死亡年月日がわかる戸籍謄本、除籍謄本、戸籍全部事項証明書、除籍全部事項証明書の提出を求めています。

改葬許可申請者と故人とに親族関係があるとは限らない

 繰り返しになりますが、やはり改葬許可を申請する方と、故人との関係がわかる戸籍謄本、除籍謄本、戸籍全部事項証明書、除籍全部事項証明書の提出を求めることに合理的意味はありません。

墓地管理者の証明書の意味の没却

 墓地、埋葬等に関する法律施行規則(1948年(昭和23年厚生省令第24号)第2条第2項第1号で、改葬許可申請に際して墓地管理者の発行する埋葬証明書、埋蔵証明書、収蔵証明書の添付が義務づけられています。

墓地、埋葬等に関する法律施行規則(1948年(昭和23年厚生省令第24号)第2条
第2項
 前項の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
第1号
 墓地又は納骨堂(以下「墓地等」という。)の管理者の作成した埋葬若しくは埋蔵又は収蔵の事実を証する書面(これにより難い特別の事情のある場合にあつては、市町村長が必要と認めるこれに準ずる書面)

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323M40000100024

 この墓地管理者の発行する証明書によって、故人の死亡年月日は証明されています。

 この規定があるにも関わらず、故人の死亡年月日を証明する戸籍の添付を求めることは「墓地管理者の証明書」を求める法令の趣旨を没却します。

 では、仮に「墓地管理者の証明書」と戸籍に記載されている故人の死亡年月日が異なっていた場合、敦賀市役所はどう対応するのでしょうか。

 戸籍の記載を優先するとすれば、墓地管理者の証明書を求める意味が没却されます。

 敦賀市役所の行為は、墓地、埋葬等に関する法律施行規則(1948年(昭和23年厚生省令第24号)第2条第2項第1号に違反すると言わざるを得ません。

 墓地管理者の証明を優先するとすれば、戸籍を求める意味がありません。

 敦賀市役所は、改葬許可申請者に対して意味が無い過重な負担を強いているものとして、行政権の逸脱濫用との謗りを免れません。

 敦賀市役所はどのように判断するのでしょうか。

 そして、その際の根拠法令は何でしょうか。

 敦賀市役所が戸籍を求めているのは法律上、破綻しています。

相続関係証明書を求めることとの重なり

 上述の通り、敦賀市役所では、改葬許可を申請する方と、故人との関係がわかる家系図の提出を求めています。

 改葬許可を申請する方と、故人との関係がわかる家系図の提出を求めていながら、さらに改葬許可を申請する方と、故人との関係がわかる戸籍謄本、除籍謄本、戸籍全部事項証明書、除籍全部事項証明書の提出を求めるのは申請者に過剰な負担を強いています。

故人の住民票、戸籍の附票など

 敦賀市役所では、故人の死亡時の住所がわかる住民票または戸籍の附票の提出を求めています。

墓地管理者の証明書の意味の没却

 これも繰り返しになりますが、墓地管理者の発行する証明書によって、故人の死亡時の住所は証明されています。

 この規定があるにも関わらず、故人の死亡時の住所を証明する住民票、戸籍の附票の添付を求めることは「墓地管理者の証明書」を求める法令の趣旨を没却します。

 では、仮に「墓地管理者の証明書」と住民票、戸籍の附票に記載されている故人の死亡時の住所が異なっていた場合、敦賀市役所はどう対応するのでしょうか。

 住民票、戸籍の附票の記載を優先するとすれば、墓地管理者の証明書を求める意味が没却されます。

 墓地管理者の証明を優先するとすれば、住民票、戸籍の附票を求める意味がありません。

 敦賀市役所が住民票、戸籍の附票を求めているのは墓地管理者の証明書の意味の没却です。

改葬許可申請者の住民票

 敦賀市役所では、改葬許可申請者の住民票の提出を求めています。

 これに至っては、敦賀市役所が求めている趣旨も理解できません。

 申請者の身元の確認であるとすれば、身分証明書(運転免許証、健康保険証、マイナンバーカードなど)の写しで十分なはずです。

 改葬許可申請者の住民票を求めるのは、意味なく申請者に過剰な負担を課しているとしか言いようがありません。

厚生労働省の見解

 地方自治法上、厚生労働省が敦賀市役所に「指導」や「是正」を命じることはできませんが、さくら行政書士事務所では、墓地埋葬法を所管する厚生労働省に事情を伝え、意見を求めました。

 法律上、厚生労働省の「意見」でしかありませんが、墓地、埋葬等に関する法律(1948年(昭和23年)法律第48号)は第1条の目的規定で「国民の宗教的感情に適合し、かつ公衆衛生その他公共の福祉の見地から、支障なく行われることを目的とする」と規定しているのに対し、目的規定の趣旨を逸脱しているのではないか、との見解でした。

墓地、埋葬等に関する法律(1948年(昭和23年)法律第48号)

第1条
 この法律は、墓地、納骨堂又は火葬場の管理及び埋葬等が、国民の宗教的感情に適合し、且つ公衆衛生その他公共の福祉の見地から、支障なく行われることを目的とする。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?law_unique_id=323AC0000000048_20150801_000000000000000

さくら行政書士事務所の見解

 さくら行政書士事務所としては、現在の福井県敦賀市役所の改葬許可申請の必要書類の運用は問題が大きいと考えます。

 墓地埋葬法施行規則第2条第2項第3号にはバスケット条項があるのは確かですが、市区町村の裁量の範囲を超えて資料を求めることができないのは明らかです。

 福井県敦賀市役所が求める資料については法的な妥当性を欠くと考えられるものも多く、敦賀市長に法律上認められる裁量を逸脱、濫用しているとさくら行政書士事務所では考えます。

 福井県敦賀市役所の改葬許可についての現在の運用は、違法性が高いと評価せざるを得ないとさくら行政書士事務所では考えます。

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